ゆかりが飲んだ世界線はあり得るのか

「この世の終わりみたいなインスタの投稿」というものがあります。

文字通りInstagramに投稿されてしまった妙にイキった(ノリにのった)大学生の飲み会コールの動画がTwitterで拡散され、元動画が削除された現在でもニコニコ動画などでネットのおもちゃとしてイジられ続けている。

ニコニコ動画で有名なとある動画投稿主並びに生放送主もこの飲み会コールを題材としたピアノ演奏の動画を投稿している。

(ニコニコ大百科より)

概要を説明すると、当時大学生の男女グループが飲み会で下ネタ丸出しの卑猥なコールを唄い、それがネットで拡散され、炎上した事件です。

動画は形を変えてアップロードされ続けており、「敗戦国の末路」「英霊が守りたかったもの」などのタグ付けやサブタイトルがつき、戦後日本の堕落の象徴の一つというネタ扱いされています。

また、有名な歌い手の鈴木ゆゆうた氏が、そのときのコールをバラード風に歌い上げている動画もインターネット上にあります。

今回は、事件の登場人物の中で、唯一名前が出てきた人物、さらにコールを唄わせる原因となった人物である「ゆかり」に焦点を当てたいと思います。ゆかりが、お酒を一気飲みすることができなかったために、コールがエスカレートしてしまったのです。

ネット上では現在でも、

「あのときゆかりが飲んでさえいれば・・・」

「ゆかりが飲んだ世界線を見ていたい・・・」

などゆかりの行動を悔やみ、もう一つの未来を待望する声も聞こえてきます。

果たしてそれがどんなものかを検証してみたいと思います。

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二つの異なる世界線

ゆかりが飲んでない世界線

「ゆかりが飲んでない世界線」

これは、現実に起きてしまった世界線です。ゆかりは大ジョッキでサワーのような飲み物の一気飲みに挑戦しましたが、大して飲めず3分の1程度残していました。その後、飲み続けることに躊躇し、大ジョッキの隣にあったグラスにひたすら氷を入れて誤魔化していたのです。

そんなゆかりの一気飲みを鼓舞するために、周りの友人たちはコールを唄います。けれどもゆかりは、いつまで経っても氷を入れ続けている始末なので、結局コールをフルで歌うはめになりました。それだけなら何の問題もないのですが、コールの歌詞がとても卑猥であったために、インターネット上にアップロードされた動画が拡散、ご存じの通り炎上騒動となってしまったのです。

真実かどうか定かではありませんが、噂によると動画に出て卑猥なコールを唄っていた女子学生は内定取消になったとも言われています。

卑猥な歌詞を口にしている姿が拡散、ネットで炎上、内定取消・・・・

これはまさに、登場人物たちにとって最悪の世界線でしょう。

ゆかりが飲んだ世界線

対して「ゆかりが飲んだ世界線」とはどんな世界なのでしょう。

ゆかりは、起きてしまった現実とは異なり、大ジョッキをきれいに飲み干します。あの場を誤魔化すために氷を入れ続けていたゆかりはどこにもいません。周りは拍手喝采、無駄なコールなどする必要もないでしょう。

でもちょっと待ってください。飲むにせよ、飲まないにせよ結局コールはしますよね?

いや心配ありません。確かに「イッキッキノキー」から始まり、生殖器名などを叫ぶ出だしは入りますが、それも一瞬です。その間にゆかりは大ジョッキを空にしてしまうのです。

たとえインターネットにアップロードされたとしてもたかだか10秒~20秒程度の動画です。他の数多くあるふざけた動画と変わりないのです。見た人は不快に思うかもしれませんが、炎上するほどの話題になるとは思えません。

こうして楽しい学生生活は順風満帆に終わりました。無事取れた内定先へ各々は就職していきます。飲み会で騒いだことなんて青春の1ページです。ああ、楽しかった。

これが起きて欲しかった世界線、ゆかりが飲んだ世界線の姿でしょう。

ゆかりが飲んだ世界線はあり得るのか?

たとえ飲んだとしても・・・

しかし、本当に「ゆかりが飲んだ世界線」は起こり得たのでしょうか?

ほんの少しでも良いからその可能性はあったのでしょうか?

個人的にはないと思っています。理由は以下で説明します。

ゆかりは、アルコールに弱い、百歩譲っても強いとは言えない人物です。動画に出てきた一気飲みがはたして飲み会スタートから起算していつの時点かは分かりませんが、まだ泥酔している感じはしませんでしたし、周りの友人らも同様です。ひょっとすると飲み会の初盤~中盤の疑いがあります。

にもかかわらずサワーの大ジョッキを飲み干せないとなるとゆかりのアルコール耐性は低く、かつ非常に自制心の強い人物です。動画上ではおどけた調子でピエロの役割を演じていますが、自分の耐性以上の飲みは、場を白けさせることも厭わずしっかり拒否するところを見ると、かなり自己抑制力は高いのでしょう。

そういう人物が、一つの大ジョッキについて「飲んだ世界線」を実現したとしても、第二、第三のジョッキが届いたとき、新たな世界線への入口が訪れ、悲劇は繰り返されてしまうのは容易に想像できます。つまり、どうあがいても「飲んでない世界線」へと収束する無限ループに入ってしまっているのです。

謎の撮影者

この悲劇の登場人物たちの中で唯一直接的な被害を受けなかったのが、動画撮影者です。自分は安全圏にいながら、友人の恥体を撮影し、ネットにまで流出させる原因となった人物です。

正体がばれるリスクもほとんどないため、内定取消などの憂き目に遭うこともなく、現在でも平凡な暮らしをしているのかもしれません。卑猥なコールを唄っていた男女や、間に座っていたメガネの女性、そしてゆかりは普通の生活をしているだけでも、いつどこで特定されるかも分からないリスクを抱えているのとは対照的です。

卑猥なコールを唄っているとき、歌い手の男女はカメラの前でポーズを取っていたので、日常的にこういう動画撮影が行われていたのかもしれません。グループの中ではよほど信頼されてた人物だったのでしょう。ふつう、あまり信頼のおけない人物のカメラの前で素を出すことは考えにくいからです。

この動画撮影者がゆかりを元の世界線へと引き戻す鍵になります。

なぜなら、ゆかりが仮に「飲んだ世界線」をあの日あのときの居酒屋で達成できたとしても、またいつどこかでこのグループと飲み、この撮影者がいる限り、常に「飲んでない世界線」へと引き戻される引力が働くからです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

未来というものは自分の意思で変えられる一方、やはり人間はその人にとっての「あるべき世界線」に引き戻されてしまう残酷な側面もあります。

ゆかりは果たして飲むことできたのか?

個人的には、飲むことはできなかったと思います。しかし、「飲む/飲まない」というルート自体にぶち当たることは避けられたはずです。例えば、卑猥なコールが初めて登場した日。付き合う友人を再考するという選択肢もありました。

しかし、ゆかりが飲まなかったおかげで、ネット史の中に一つの玩具が加わり、隠れた迷曲(?)が誕生したことを思えば、やはり世界線を突破するのは容易ではないのかもしれませんね。

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