ヘリウム不足に投資する?ヘリウム関連銘柄とは

ヘリウムと聞いて何を思い浮かべますか。

多くの人は、「吸い込んだら、声変わりするガス」と答えるでしょう。他には風船をふわふわと膨らませることもできたりします。

そんな不思議なガスですが、実はとても貴重なんです。深刻なヘリウム不足が原因で、あのディズニーランドからキャラクターの風船が消えたというニュースも流れたくらいです。

以下はヘリウムの価格推移です。特に近年は右肩上がりなのが分かります。

単位のmcfは千立方フィートで、2019年のヘリウム価格は97米ドル/1千立方フィートになります。価格はヘリウムを国家的に管理しているアメリカ土地管理局(BLM)のデータです。

今回はヘリウムの価格がなぜ上昇しているのか?ヘリウムに投資するにはどうすればいいのか?を見ていきましょう。

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ヘリウムとは?

特性

ヘリウムは空気よりもずっと軽い物質です。元素の中で2番目に軽いです(1番は水素)。飛行船や巨大バルーンを飛ばすのに、ヘリウムガスが使われています。

さらに元素の中で最も沸点が低いという特徴を持ちます。つまり、すぐに気体になってしまうということです。沸点の温度はなんと-268.9度です。油断すると空気中に蒸発してしまうため保管方法は難しく、高圧ガスボンベもしくは液化してタンクに備蓄されています。

ほかに特徴的なのは熱伝導率が高いことが挙げられます。熱伝導率とは熱の伝わり方のことです。どういうことかと言うと、ヘリウムガスを熱い物質に吹きかけると、その物質は急速に冷却します。ヘリウムの方に熱が伝わって逃げていくからです。

生産方法

ヘリウムは大気中にほとんど含まれておらず、地中深くに存在しています。天然ガスと混在しており、天然ガスを採取する過程で分離・精製されるのです。しかもヘリウムの採れる割合は天然ガスに対して数パーセントとかなり低いとされています。つまり、希少資源なのです。

産出国は必然的に天然ガス田を保有する国となります。古くから開発されてきたのはアメリカで、世界の57%の産出量がアメリカです。次に中東のカタールやアフリカのアルジェリアが続きます。近年ではロシアでの開発も急速に進められています。

用途

ヘリウムはかつて航空機が発達していない時代は気球や飛行船への使用がメインでしたが、現在ではあまり使われていません。その代わり、熱伝導率が高い(=他の物質を冷却しやすい)という性質などを活かして産業や医療用に幅広く使われています。

ヘリウムガスとしては、半導体・光ファイバーへの用途が約40%です。液体ヘリウムとしては医療用のMRIへの用途が約70%です。(日本産業・医療ガス協会

半導体の製造工程では、円盤状のシリコンウエハーと呼ばれる基板を加工するために熱処理を行います。熱処理後、すばやく冷却するためにヘリウムガスが使われるのです。

また液体ヘリウムは医療の画像診断検査で用いられるMRIやリニアモーターカーなどに使われる超電導マグネットを冷却させる効果があります。ふつう物質には電気抵抗がありますが、液体ヘリウムで冷却すると、電気抵抗のない超電導現象が発生します。そうすると、通常では考えられない大きな電気を流すことが可能となり、MRIやリニアに必要な強力な磁場を作ることができるのです。

ヘリウム不足

需給

以下は世界のヘリウム生産量です。

アメリカの生産量は世界シェア57%と圧倒的です。さらに貯蔵量は39億立方メートルもあります。その次にカタール、アルジェリアと続き、オーストラリアやロシアでも生産可能です。

ご覧の通り、ヘリウムを供給できる国はきわめて限定的でしかも、アメリカが突出しているのが現状です。

しかしヘリウムの今後需給見通しでは、供給が需要の拡大に追いつかないという予測です。(グラフは経済産業省の依頼でみずほ情報総研が作成したものを抜粋)

今後アジアを中心に発展途上国での半導体・光ファイバー・MRIの需要拡大は確実です。

シェールガス革命

アメリカは第一次大戦前よりヘリウムを貴重な軍需物質としてアメリカ土地管理局(BLM)が国家管理していました。その後、徐々に法律を整備して民営化を進めてきました。最終的には、軍需・宇宙開発のために30億立方メートル残し、あとは民間にオークションで払い下げたる予定なので生産量は民間開発に期待するしかありません。

しかし、米国ではヘリウムを採取できる天然ガスの開発より、シェールガス革命によるシェールガス開発の開発の方が旺盛です。残念ながらシェールガスにヘリウムはほとんど含まれていません。そういう意味でも需給のひっ迫が予想されています。

ヘリウムに投資する方法

ヘリウムは取扱いが難しく、ヘリウムそのものを保有することは現実的ではありません。またヘリウムが組み込まれているETFなどは日本から購入することはできないようです。しかしながら、ヘリウムを販売するアメリカおよび日本企業の株式であれば購入することはできますので、間接的にヘリウムに投資することは可能です。

ヘリウム関連銘柄(米国株)

Air Products and Chemicals


Air Products and Chemicalsはアメリカ最大手の工業用ガス販売会社で、S&P500の構成銘柄です。約80年の歴史を持ち、酸素や窒素などのガスを世界中に販売しています。ヘリウムについては、アメリカ土地管理局によるオークションで買い占めを行ったとされています。
Linde(Praxair)


LindeはドイツのLindeとアメリカのPraxairが合併してできた世界最大手の産業用ガス会社で、ニューヨーク証取上場企業です。PraxairはアメリカでAir Products and Chemicalsに次ぐヘリウム供給業者でした。Linde本社はイギリスにあり、日本にもプラクスエア工学という子会社があります。
Chart Industries


Chart Industriesはナスダックに上場する工業用ガス製品メーカーです。ヘリウムの貯蔵タンクをAir Products and ChemicalsやLindeその他日本のガス業者などにも販売しています。ヘリウムの価格が上がれば当社も恩恵を受けるでしょう。

ヘリウム関連銘柄(日本株)

岩谷産業
大阪に本拠地を置く産業ガスの専門商社です(証券コード:8088)。
アメリカとカタールからヘリウムを調達しており、日本のヘリウム事業ではシェア50%以上と最大手です。

大陽日酸
三菱ケミカルホールディングス傘下の産業ガス国内トップメーカーです(証券コード:4091)。子会社のジャパンヘリウムセンター(JHC)を通じてヘリウムを調達しており、国内シェアは25%程度です。




おわりに

いかがでしたでしょうか。

一般的には演芸や風船などで使うと思われているヘリウムが実は貴重な資源でした。今後も産業用だけでなく、研究用など根強い需要があるのでますます価格は上がるかもしれません。

現在のところ、ヘリウムが組み込まれたETFなどは日本で購入することはできませんが、ヘリウムを扱う企業の株式に投資することは可能ですので、今回の記事に登場した銘柄を参考にしてみてください。

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